2年ぶりの関カレに向けて、せっかく1週間もかけて選手紹介をやったので、結果報告もしておこうと思います。先週の日曜日、7月11日に那須塩原で行われた関東インカレに15名の選手が出場し、58位・山村までの9名がインカレに出場することとなりました。結果は以下の通りです。
6位 浜崎 塁(理工・4年)
19位 岸本 翔太(経済・3年)
22位 菅家 隼(理工・4年)
26位 志田 俊平(経済・4年)
27位 関根 貴大(商・4年)
29位 花野 潤(経済・2年)
47位 山口 海一郎(経済・2年)
51位 奥津 大志(商・4年)
58位 山村 泰斗(経済・3年)
103位 竹内 新(経済・3年)
115位 畔上 貴嗣(法・3年)
118位 東 勁汰(経済・3年)
141位 岡本 湧雅(商・4年)
151位 水上 陽日(理工・2年)
156位 猪原 昂大(商・2年)
今年の予選突破のボーダーは64位まで。一昨年の82位から大幅に枠が減らされ、厳しい戦いになることが予想されていました。それにもかかわらず、Team J.は9名が予選を突破、団体2位と健闘。目標としていた「インカレ11名出場」は、学連組の2人が西日本代替予選を突破すれば達成されます。
こんなことを言ったら怒られそうですが、正直私はこの目標達成はかなり厳しいと思っていました。ボーダーに近い選手が何人かいて、1人1人に対して「〇〇がうまくできればこの人は大丈夫」と考えていました。それがまさか4人もうまくいこうとは、思ってもみませんでした。このチームの勝負強さ、力強さを感じた1日でした。
それに加え、悪天候にもかかわらず、出場した選手全員が無事に完走できたこと、本当に嬉しく思います。改めて、出場した選手全員を称えたいと思います。
レース前夜。この日のミーティングからすでにドラマチックだった。それぞれがそれぞれの思いを赤裸々に語る。普段の姿を見ているからこそ頷きたくなる言葉、「そんなこと思ってたんだ」というような言葉、思わず胸が熱くなる言葉。いろいろな言葉が心を揺さぶる。今年は練習や遠征が少なく、部員同士のコミュニケーションも思うように取れなかったからなおさらだ。レースが始まってもないのに、すでに結構な人が涙を堪えている。部屋で堰切れた人もいただろう。おいおい、泣くのはまだ早いぜ。
・・・かくいう私も、同期の涙にもらい泣きしそうになった。自分の話をしているうちに、この半年間の出来事が一気に思い出されて、言葉に詰まる。深呼吸。堪えた。まだ喋れる。ブログ6本も書いてまだ喋るってヤバイな。とわかっていながら喋る。ミーティング中の胸の高鳴りに、明日への大きな期待と、一抹の不安が脳裏をよぎった。
レース当日。大雨雷注意報。11時を過ぎて雨が降り始める。雷が鳴る。12時スタートの東北男子、始まる気配がない。本当に開催できるのだろうかと不安になる。決定が下った。東北男子と関東男子を10分差でスタートさせる。13時の開始まであと30分。皆がスタートへ急ぐ。本来枠が別であるはずの東北と関東が同時に来るので、マネージャーも焦る。
レーススタート。あいかなとバイク周回へ向かう。LINE通話を繋いで情報をもらう。すると、バイク入りの桃さんの読み上げる声と、ゆかりの物凄い叫び声が聞こえてくる。必死だった。今まで聞いたこともないような声だった。姿は見えないのに、声が聞こえるだけで、どうしてこんなに胸が熱くなるのだろう。またこみ上げてくる。今はダメ。ギリギリ堪えた。
スイムアップ、浜崎、関根、志田、菅家、山口、花野。想定通り。あとは非スイマー。信じて自分の場所へ向かう。牛臭い。1番目は浜崎。スイマーが次々通過していく。雨が強くなってきた。
非スイマーのトップはやはり岸本だった。初めてのバイク周回、なかなか見つけられない。目の前を通って初めて気づいて唖然とする。彼の背中に叫ぶ。多分聞こえた。ぽかんと口を開けた私を見て、彼はニヤニヤ笑っていたらしい。恥ずかしい。
次は山村。要望を聞くためにわざわざ道の端へ寄ってきてくれた。岸本との差を読み上げる。「了解」と言わんばかりに右手を上げる。表情はきつそうだが気持ちに余裕がある。彼は練習の時もいつもそうやって反応してくれる。普段彼とはあまり喋らないけれど、コミュニケーションはちゃんと取れている。そういう不思議な関係だと思う。
奥津、東、畔上、竹内と、次々に通過していく。そしてゆうがさんが走ってきた。彼は5年生。なんだか楽しそうである。写真の映りもMVP。要望がなかった分、カメラをひたすら撮り続けた。
水上と猪原。2年生だが初レース。水冷たかったけど大丈夫かな、と思っていたが、目の前を通り過ぎた彼らの目はちゃんと前を向いていた。ここまで来ればもう大丈夫。がんばれ。
同じことを3周繰り返す。3周目はカメラを構える。カメラを確認した関根はこちらへ寄ってきた。カメラ目線で綺麗に映る。思わず笑ってしまった。生憎の天気で色彩が鮮やかでないのが残念だが、紫陽花と一緒に映るのも、これはこれでいい。トライアスロン、梅雨バージョン。任務完了。ランコースへ走る。
ゴールには2人しか入れないのであいかなとなつみに任せていたが、それでも諦めきれない。ランコースのラスト100mまで走った。1周目の畔上と東を送り出す。普段より前に進んでいない。顔も苦しそう。足が攣ったのだろうか。こんな時に「ファイト」以外の言葉を言えない自分がもどかしい。
まもなく浜崎が来た。東北と混ざっているので順位が分からないが、恐らく1桁台。その1分後に岸本が文字通り飛び込んできた。速い。必死の形相をしている。出し切れ、最後まで。
そのすぐ後にスイマーが4人続けてやってくる。菅家、志田、関根、花野。10秒おきにJが来る。そんなことあるか!?というか、志田先輩こんなに速かったか?潰れてない!走れてる!凄い!凄い!超楽しそう。2年前の彼とは別人みたいだ。
こういうことをすると時々怒られるらしいが、決してふざけているわけではない。普段の彼を見ていればすぐにわかる。彼の笑顔は全力の笑顔だ。次は山口、山村、奥津。ボーダーのあの3人はどうなった。ギリギリ?頼むから早く来てくれ。
1人目は山口。彼はラスト200mで爆上げできる男。勝負強い。期待通りもの凄いスピードで飛び込んできたが、まさか途中で潰れていたんじゃないだろうな。出し切れ!と声をかけたが、私の言葉など聞くまでもなく、ただ前だけを向いて走っている。必死の形相。最後まで、しっかり走れ。
次は奥津。間に合った!彼のフォームは本当に見惚れそうになる。一体何人抜かしてきたんだろうか。そこに、浜崎と岸本が歩いて戻ってきた。おめでとう。握手をする。どうしたのと聞く前に、向こうに山村の姿が見えた。すべてを悟った。
彼がボーダーだ。全員で叫ぶ。走れ!ラスト!まだいける!抜かせ!抜かせ!1人でも前へ!!!自分でもビックリするくらいの力強い声が出た。次の瞬間、彼の目つきが変わった。あとはゴールへまっしぐら。一瞬迷ったが、後を追った。自分もゴールへまっしぐら。水たまりに飛び込み、靴下の中まで泥水が入ってくる。構うものか。
山村、いた!周りに岸本、太田、浜崎。抱き合っている。これ以上ないくらいの笑顔だ。大雨が降っていることすら忘れそうになる。
そこで我に返った。まだ選手残ってる。戻らなきゃ。今度はゴールで出迎える作戦へ変更。そこで新とすれ違う。心の中で謝りながらゴールへダッシュ。畔、東、ゆうがさん、3人を出迎える。学連の長尾を発見。彼の目も潤んでいる。あいかなとなつみもいた。一心不乱に順位と大学名を書き続けている。今、彼女たちは本気だ。ガチの本気だ。
時間をあけて水上、猪原がゴール。初レース完走。こんな悪天候でよく走り切った。思い返せば一昨年の自分の初レースも大雨だった。本当によく頑張った。大丈夫かな?歩けるかな?と思ったそのとき、学連の岡村が彼の肩をとり、支えて歩き出した。こういう細やかな気遣いがさらっとできるところが、彼の好きなところだ。これで全員完走か。え、全員!?ここでまたこみ上げてきた。
テントに戻る途中で山村を見つける。おめでとう、本当よかった。山村には行ってほしかったよ。頑張ったなあ!あざす。ラスト上げたねえ!おう、3人抜かした、3人!しばらくしてリザルトが出る。これで58位、ボーダーぎりぎりとか言うんだから恐ろしい。彼は「まあ、余裕だな」とか言っている。どこが余裕だよ。大泣きしてたくせに。そして、皆でテントへ戻った。
関カレには人それぞれ、いろいろな思いがある。
目標を達成して喜ぶ選手。思い通りにいかなかった選手。何とも言えない結果を前に複雑な表情をする選手。あるいはマネージャー。目の前にいる君に、私はなんて声をかけたらいいんだろう。こういうとき、なんで気の利いた言葉のひとつも出てこないんだろう。自分がもどかしくなる。
でもそれは、言葉では表すことができないほど強い思いを心に宿している証でもある。自分の思いが、すでに言葉の限界を超えてしまっているのだ。
どうしたら…?伝えられることを、伝えればよい。ただ手を握ればいい。抱きしめればいい。そばにいるだけでもいい。それだけ力強い思いならば、言葉でなくたってきっと届く。一緒に頑張ってきたんだろう?ずっとそばで見てきたんだろう?だったら届くと信じていいんじゃないか。
思いは届く。信じていい。
必死の表情で走る選手を見ていると、こみ上げてくるものがある。自分も何かエールを送りたい。少しでも力になりたい。それなのに、言葉が出てこない。もどかしい。なんて自分は不器用なんだろうと思う。でも、それでいいのだ。言葉で思いをすべて伝えられるはずがない。ただ、大声で叫べばいい。今めちゃくちゃ胸が熱いよ、もう何が何だかわかんない、でも応援してるよ、ちゃんとここにいるよ!!!それが伝わるだけで、どれほど選手の力になることか。自分も選手だったからわかる。その言葉にならないコトバを、その力を、もっと信じてみてもいいんじゃないか。
ぐちゃぐちゃな思いを、ただそのまま届ければいい。「ファイト」という言葉は、そのためにある。それは、無機質な言葉などでは決してない。言葉にならない思いを届けるためにあるのだ。「ファイト」しか言えなかった、ではない。勇気を出して「ファイト」と言えたことが、とても大きなことなのだと思う。
次のステージへ
今回の関カレは、チーム全体としては大きな功績を残せたと思う。一方で、「何もできなかった」という気持ちを抱えている人も、きっといるだろう。皆がインカレを決める中で、自分は決められなかった。インカレは決められたけど、満足いく結果ではなかった。全く思うようにできなかった。本当はもっとやりたいことがあった。そんなことを考えている人もいるはずだ。
でも、「何もできなかった」と思っているのは、君だけではない。そういう気持ちを抱えた経験は、誰しもどこかでしているものだ。そして、「何もできなかった」と思った人は、「次こそは何かを成し遂げたい」と強く思うだろう。それが、私たちを動かす機動力なのだと思う。その気持ちが、走り続ける力と勇気を与えてくれるのだと思う。
トライアスロン:スイム、バイク、ラン。どれをとっても残酷な競技だと思う。頑張りの成果が数字に表れてしまうのだから。どんなに頑張っても結果は結果であり、人との勝負は一面にすぎない。自分に突き付けられた結果には、その数字には、全く言い訳ができない。着飾ることもできない。生身の自分で勝負するしかない。だから、この競技に挑戦すること自体、とても勇気のいることなのだ。
マネージャー。ある意味ではさらに厳しい。頑張りの成果は、数字にすら表れない。自分の頑張りをどう評価するか、あるいはしないか、そこから自分で決めなくてはならない。選手の残した結果、選手の表情、感謝の言葉、自分が楽しいか、やりがいがあるかどうか。あるいはそんなことはどうでもいいか。人それぞれ、自分なりにものさしを作っていくしかない。これはマネージャー誰もが直面する壁である。だから、マネージャーをすること自体、これもとても勇気のいることなのだ。
嬉しいと思うのも、悔しいと思うのも、それは全力になった証。君が真剣に自分と向き合い、努力を積み重ね、自分を変えようとしたからだ。まずはそんな自分を、ぎゅっと抱きしめてほしい。
このチームの仲間はみな、全力で闘った。もちろん、結果は結果であって、皆が思った通りの場所へ行けるとは限らない。でも、このTeam J.は、私たちを確かな場所へは連れて行ってくれる。このチームにいれば、期待通りの美しい景色は見られないかもしれないけれど、何か新しい、別の意味で美しい景色に出会えるかもしれない。そう信じていいんじゃないか。そう信じることができたら、また頑張れるんじゃないか。そんなことを、帰りの車の中で考えていた。
これからTeam J.は、シーズン後半の3か月に入る。ここから8月の西日本インカレ、9月のインカレ、九十九里、10月のスプリントと、新たなドラマが始まる。ここが一つの終わりでもあり、新たな始まりでもある。できなかったことは、皆でもう一度やり直そう。まだチャンスはある。
もう一度、皆でスタートを切ろう。新たなステージへ。