なぜこんなにブログの更新が遅いのかというとこう見えてまじめに仕事をしているからである。菅家さんなどにお叱りを受けた。岡村からも催促された。

それはそれとして先日体重を測ったらとんでもないことになっていた。目も当てられない。キロ6でHR175とかいう普通に閾値な状態になった。信じがたい。とてもIRONMAN完走者とは思えない(深刻なネタバレ)

少し前置きをすると、今回のブログ、恐ろしいほど長い。大体10000文字ある。できるだけ短めに書こうとしたが文章が止まらない。何をしているのだお前は。

さて、前置きもそこそこについに当日だ。これまでに出場した最長距離はミドルトライアスロン。この距離でも結構ヒイヒイ言いながら走っていたのにIRONMANはその倍だ。やばすぎる。そんな激やばレース、実をいうときつすぎて記憶がない場所がところどころあるが・・・頑張ってログから思い起こそう。

起床~レース直前

レースは8時からスタートだが、トランジションへの補給食搬入が5時半からあるので4時半には宿を出る必要がある。各自持ってきたレース用朝ご飯をぶち込み、会場へ向かう。実はタウポ自体が路駐可能(駐車スペースが道路上にある)な場所が多く、駐車場から5~6分歩けば会場についてしまう。ちなみに、当日の駐車場をどうするか一ミリも考えていなかったので完全に棚ぼただった。運が良い。

5時35分,遥かなる旅路へのプレリュード

駐車場からトランジまではそこまで遠くない。(というか我らが菅家さんがベストポジションを取ってくれた。感謝。)トランジではバイクラップ、ランラップでもらうバッグを預ける。(説明していなかったが、受付時にバイク、ランそれぞれに必要なものをまとめた袋が支給されるので、シューズやヘルメットなどをまとめる必要がある。)

その後はバイクに補給食をつけたり、空気圧の最終点検をする。一つ言いたいのだが、卒業間近で空気の入れ方が分からないとかほざいてたやつがいたな、誰とは言わないが地中深くに埋めようかと思ったゾ。(情状酌量の余地があるとすれば少し特殊な空気入れだった)

なお、私の隣で準備していた選手、Cervero P5にZIPP 858NSW/SUPER 9とかいう遅い理由が見当たらない最強バイクをつけていた。正直くそほどかっこよかった・・・そんな彼、シーラントが漏れ出していた。ここは元自転車屋さん。一肌脱いじゃいました。サクッと助けて互いに健闘を祈りあう。

プロ選手のバイクをわざわざみにいっておほぉ^~ってなったりする。余談だが、DHバーのアームレストが巨大化しているのは最近の流行りなのだろうか。

時間に余裕を持つことと慌てることは別問題

相変わらず海一郎の方が映り方が上手い。悔しい。

トランジのチェックインを終え、時刻は6時。やることもないので仮眠をハイエースで取る。何しろこちとら2時間しか寝てないのだ。可能な限り回復に努めたい。(そもそもちゃんと寝ろ)

時間もいい感じになったところで卍正装卍のトライスーツに着替える。今回はさすがにNAGAOの方で参戦する。今にして思うとなんでそんな変なトライスーツにしたんだろう。それはそれとして、トライスーツあるあるだが、着替えたとたんにトイレに行きたくなる。なんなんだ。どうやら岡村、山口も同じ考えだったようでトイレに向かう。じゃんけんで順番を決めるのはやはりJ.らしい。ここでもしっかり勝っていく。運命力が違うのだ。

さて、トイレから出たのはいいが全然時間がない。やばい、悠長にしすぎた。レース直前のセレモニーで本物のハカが見られるのだが、人だかりで全然見えない。というかウェットスーツも着なきゃいけないので大慌てだ。

とはいえレース前、小泉たちもいることもあり学生トライアスリート全員の集合写真だけは欠かさない。

総勢8名のチャレンジャーズ。

アンクルバンドをもらう前にゴール後もらう袋を預けるのだが、慌てすぎて岡村のバッグを持ってきてしまった。大慌てで岡村に返し、取りに戻るがそこには誰もいない。マネさんを探そうにももう間に合わないのであきらめて試泳に向かう。ちなみに、どうやら潤が気を利かせてスタッフに預けてくれたらしいが、それを知らない長尾君はひどい目に合う(合わせられた)のだった。

さて、しょっぱなから雲行きが怪しいが嘆いても始まらない。スタート位置までえっちらおっちら泳いで号砲を待つ。透明度の高い湖なので周りの状況が見やすい、集団泳のしやすいコースだ。助かる。

さあ、スタートだ。後退のねじなんてとっくに外してる。遥かなる旅路へ、いざ参る。

スイム 狂う方向感覚、流され続ける私。

長いような短いような。

猪原よ。君ならもっといいウェーブでもよかったのでは。。。

3.8km!?
とはいってもよく考えたら1回のチーム練がそんなものである。ほかの二種目と違って明らかにウェイトが小さい。(実際1時間だし)

とはいえ侮れない、そもそも1時間以上泳ぎっぱなしというのがまず信じ難い光景である。
ここに来て当たり前の事実を言う。他人とぶつかると疲れる。ここから226kmもやるのにそんな所でエネルギーを使う訳にはいかないのだ。

困ったことに現場はそうはいかなかった。最初の400m,普通に格闘大会になってしまった。学生レースのような血の気の多さでは無いが、思ったよりもバトルが勃発してしまった。

そしてもうひとつ当たり前のことを言うと、風が強いと波が強い。困ったことに当日はめちゃくちゃ風が強かった。

つまり、湖でありながら琵琶湖並の広さのタウポ湖で強風、なぜだか湘南の練習を思い出すくらいには流され続けた。

改めてコース図を見てみよう。

波に対して垂直に泳がなければならない以上、どうあっても左に向かいながら泳ぐことを強制されてしまう。要は、とても辛い。正直前にいたおっちゃんにコバンザメしてなければもっと辛い思いをしていた。なお、我がライバル、岡村は下馬評からかなりタイムを落としていた、ログを見たが死ぬほど流されていた。へっ。

そしてこれだけ波が強く、直線が長いとコーナーで曲がった気がしない。後でみんなで話したが、ずっと真っ直ぐ泳いでいた気分だった。

泳ぎ続けて4200m、(GARMINログがそういうのだからそうなのだろう)なっがいなぁ………と思いつつも終わりを迎える。いつもは全速力で上がるトランジも急ぐ理由はない。応援のみなさんに手を振りながらバイクへ向かう。

最前列を確保しているのはマネさんの技量を感じる。さすがです。

なお、もう疲れてるように見える。

改めて思ったけどなんで水着なん?
とてもこの後完走するとは思えない顔。
ヘルメットやビンディングシューズなどの袋をもらう。ボランティアの皆さんも気合が入っている。

着替えている最中に見知った顔が1人。二上だ。声をかけようとしたがどうやらトラブっている。スイムスーツのチャックにトライスーツのジッパーのヒモが絡まってしまったようだ。インカレでは9秒の辛酸を舐めさせられたが、今回もみんな友達。外すのを手伝う。

ラックのバイクを抱え、いざバイクパートへ。今回はコンフォート重視のためビンディングはロード用のモデルを使っている。振り返ると正直どっちでもいい気はしたのは内緒。この後、筆舌に尽くし難い苦痛が待ち受けるのは言うまでもないだろう。

180km,私と風と牛と。

180km。5年トライアスロンをしてきたがやはり頭がおかしい距離だ。コースは90km×2周回。最後に登りが続くキッついコースだ。普通に15km近く登らされるので精神がゴリゴリに削れる。なんなら帰りが向かい風なせいで登り×向かい風という悪魔みたいなコンボが僕らを襲う。

そして問題点が一つ。全然写真がない。考えてみれば当然だが、180kmの道中にカメラマンはそんなにいないのだ。その結果、写真にかなり偏りが起きている。

事前情報にクソ暑いから暑さ対策をした方がいいと言われたので、秘密兵器を投入した。プロのロード選手もしていた、ストッキングに氷を詰めて氷嚢にするという手法だ。しかし、生兵法は大怪我の元、氷を入れすぎて背中に入らない。めちゃくちゃタイムロスしてしまう。後続のなるみんに置いていかれ、かなり出遅れてしまう。(このタイムロスなければきっと5時間代だったに違いないと言い訳だけしておく(´・ω・`))

プロがやってるなら俺もやろうというあさはかさ。

そして問題が。サドルにつけていたバイクボトルが開始早々2本とも落ちた。最悪だ。20$が無駄になっただけでなく、補給手段も減った。こんなことなら頑張ってボトルタンクを取り付ければよかった。(でもめんどいんだよね。あれ。)

まだ余裕がある光景

エイドは20km事に1つ。水、スポドリ、コーラ、バナナ、モルテンなど食品が貰える。各エイドで遠慮せず水分をグビグビ摂取し、ボトルポイ捨てをかます。(ちゃんとボトルを捨てるゾーンが用意されている。)

コースに話を戻そう。

珍しく菅家さんがファンサしてくれている。

行きは登りが2回。最初の部分と、曲がってからである。ただ序盤ということもあり、あまり辛くは無い。(楽とは一言も言っていない。)追い風なのもあり、下りで65km/hでて巡回車に追いつきそうになったりした。

曲がって戻ると道中に先行しているだろうと思っていた岡村と自分が先行する形ですれ違う。後のログで知ったが彼はめちゃくちゃスイムで流されてしまったようだ。
だからてめぇはダメなん(ここで文章は途切れている)

最初のエイドで二上がなぜか止まっている。仮設トイレにいるのを見てしれっと抜いてやった。本人は気づいていなさそうだったのでバレずに先にいることが出来る。

道中でなるみんを抜き返す。さすがにTTバイク乗っている以上負けられない。その後海一郎をぶち抜く。決戦ホイールも付けずにDHバーのテープがボロボロのやつに負ける訳には行かない。

まだ余裕の顔。そりゃそうだ、追い風だもん。

折り返しに入ると向かい風が襲いかかる。想定よりかなりえぐい風が吹いている。去年紺野は5:20、えっ、ヤバくね?超速いやん………と思う。とはいえ平坦なエリアはわがTTバイクの見せどころ。少し辛いが、問題なくすすめる。

最初の登りに差しかかる。ここではまだ余裕があったので20mくらい先にいたマリオの弟みたいな名前の選手(ヘルメットも緑だし多分寄せてたと思う)をペースメーカーにしながら登り続ける。
※失策です。自分のペースで登りましょう。

走行していると、登りが終わり、下り区間に移る。
流石は菅家さん、潤だ。もう折り返して登りを終えている。はやすぎるだろ。と思いつつ互いの健闘を祈り、手を振りあう。菅家さんには99Tのランでガン無視されてしまったのでちょっと嬉しい。

街の皆さん、サポーターからの応援が聞こえる。折り返し地点の手前で小泉、お嬢、田嶋お姉さまの声援が聞こえた。手を振り、次の周回ヘ向かう。

心拍は未だ150前後。体力に余裕はある……ように見えた。パワーもまだまだ余力を残している………はずだった。

猪原よ。グリップ遠くないか??

LAP2:孤独との戦い

地獄の2周目に入る。2周目がきつくなる要因は読者の皆さんが思っていること以外にもう1つある。
人がいなさすぎる事だ。1周目はIRONMAN70.3の選手も混ざっていたため、コース上に人は一定数見受けられたが、2周目はIRONMANの選手しかいない。あまりに孤独すぎる。まだ序盤はマシだ。後続の33期達とすれ違うから。問題はその先だ。最後の猪原とすれ違った後、110kmあたりから人の気配が消える。だんだん虚無になってきた。修験道でもこんなにキツくないだろう。

LAP2 直前の二上。エアロコーチのDHバーはずるいと思う。

少し回り道となる息の終盤である曲線区間、もうこの時点で30km/h巡航がキツくなる。真っ直ぐ進むことすらままならない。後ろから来るバイク強強マンにバカスカ抜かれる。萎える。ペースが落ちる。抜かれる。萎える。以下ループ。

帰りになればもはや悲惨だ。ここに来て体が一度目の限界を迎えた。心拍が上がらない。そして何より首が痛い。ずっとDHポジションをとらされるのだ。僧帽筋がパンパンだ。こうなるとTTバイクはただの重い自転車に成り果ててしまう。宝の持ち腐れなんて言わないで欲しい。悲しい気持ちになる。

ここまで集中力が切れると、周囲のものに目が行くようになる。スピードが出ないから地元の方が設置したと思われる看板に目移りする。半分意識が無かったのと英語力のなさでちゃんと読めていないが一部には「これが読めてるってことはオメーはまだ余裕がある」だの「踏め!踏め!」だの書いてあったがそんなこと言われてもできるなら誰も苦労しない。

最初の限界

150km地点、第7か8エイド、ついに停車し、長い休息をとる。脱水がいちばん大きな要因だろう。20kmに1回500mlはあまりに少ない。正直メーカーにクレームをいれようかと思っている。(サドルのボトルケージとして使うのは想定から逸脱した使い方だったのかもしれない)
スタッフに少し止まりたい旨を伝えると、リタイアと勘違いされる。違う違う、そうじゃない。

心臓がオワオワリ。

5分程だろうか。ある程度動くようになった体にムチを打ち、残り30kmを行く。当初の目標は5時間半だったろうか。いつの間にか6時間になっていた。それも怪しい。観客より牛の方が多い。何見てんねん。風が強い。坂がきつい。後ろから人が来る。速い。

それでも走るのはひとえにここまで来た費用だろう。42万も払ってここにいるのだ。撤退などありえない。半ば意地で登り切り、下りへと向かう。しばらくの休息だ。

降りていく道中、かなり手前の位置で田嶋お姉さまが応援していた。ちょっと待て、あんたまさかここまで上がってきたのか。約3km登ってきている。すごい。その他の観客の声援に答え、トランジションに移る。この時点で午後3時ちょい過ぎ。菅家さん、潤に続いて3番目のinだった。

この時点で気分的には日の入りまでにはゴールにつけるかな……?くらいだった。トランジ対応のスタッフにYou can do it!を貰い、ついに最後にして最大の難所、ランへ入る。

限界の先の先へ

写真左、INSETの部分が特につらい。

コースは10kmちょい×4。サイトではFLATとされているが全然そんなことはなく、普通に結構登らされるしキツイ。特に沿岸から大通りに入ってからの登りはかなりのもので、精神をゴリゴリ削ってくる。

帽子をかぶり、バンドをつけ、シューズを履く。当たり前の動作のはずなのにヨタヨタとしている。走り切れる確信はなんとなくあるのに。ガタガタ言っても始まらない。決意をキメる。

初っ端からペースはキロ6。気持ちはキロ5なので相当疲れていることが分かる。しばらくすると二上に抜かれる。私が遅い。またしばらくすると海一郎にケツを叩かれる。萎える。なるみんにも抜かれる。1周回目でバンバン抜かれてしまう。ラン練習を怠っていた自分が悪い。

市街に入るため、バイクと比べて応援が明らかに増える。大学トライスーツにはJPNの刺繡があるため、外国人からのコンニチハ!をよく貰える。ちょくちょくガンバッテクダサイ!も聞こえる。結構嬉しい。同郷の日本人観客からも応援が貰える。やはり大学トライスーツはオトクだ。着た方がいい。小さな子どもがハイタッチで手を伸ばす。体力は限界を迎えているが、子どもの前でみっともない姿は見せられない。全力の痩せ我慢と作り笑顔でハイタッチをする。

3周回目の岡村。おまえ大統領みてぇだな。

そんなふうに痩せ我慢をしても辛いものは辛い。ここまで体は動かないものなのか。心拍は130、120とどんどん下がっていく。足が痛いとかではなく、単に動力に問題があるように思える。

もはやランの地力が違う。ここまで自分が走れなくなっているとは思わなかった。カーフマンで嫌な予感はしていたが、それ以上に酷い。こんなに走れない自分は史上初かもしれない。しかし嘆いても距離が短くなるわけでも自分が速くなる訳でもない。進むしかないのだ。

なんだかんだ1周目は体感上すぐ終わる。(その後の周回に死ぬほど時間がかかったため)後ろからプロカテゴリーの選手に周回差でバンバン抜かれる。なんなんだこの人たちは。なぜキロ4を軽々と切るのだ。凄すぎる。

周回のカウントにはカラフルなブレスレットをつける。各周回ごとで色が異なり、4つ集めるとゴールへの扉が開かれる。せっかくの記念で写真でも置けばいいものを、捨ててしまった。仕方ない。

アイアンマンのためかは知らないが、時計を新調していた菅家さん。右手のブレスレットが4色そろうと、ゴールへの道が開かれる。

2周目になると岡村が追いかけてきているのが見えた。これはダメだと思いムチを打つも、肝心のムチがしなびている。そうこうしているとあっという間に岡村にも追いつかれてしまった。これでとうとうビリ2になってしまった。なんというざまだ。とても元インカレ選手とは思えない。

ある日、菅家さんと話したことが思い出される。ゾンビみたいにでもいいから進み続けられないとダメだと。まさに今がそうだろう。だが、削られ続けた体力は音を上げさせるのには十分な要素だ。

LAP2,地獄の幕開け

さすが元U23。貫禄が違う。

2周目の途中にしてついに歩いてしまった。意思に反して体は動かない。補給食をどれだけとっても動力が動かない。完全に電池の切れたiPhoneが電源に繋いだところですぐに動かせる訳では無いように、完全なエネルギー切れを起こすと我々は補給食を取ってもすぐに動けないのだ。

2周目の後半で潤に、菅家さんに周回差を付けられる。ボロボロの自分を見て小泉にめちゃくちゃ煽られる。それでも軽口を叩く余裕はある。こんな状態でも頭は意外と働くものである。「ランかわって!」「優勝しちゃうからダメ!」の押し問答をしていた。
さすがにデュアスロン世界選手権出場者の力を借りたらダメだよなぁ。

LAP3:記憶の欠落

マジできつそうな走りをしている。人のことは言えないが。

3周目。この辺りの記憶はほとんどない。唯一覚えていることがあるとすれば、道中の応援にめちゃくちゃ美人な人がいたことくらいだ。自分を抜いて行った二上、山口、岡村達ははるか先だ。コースの構造上すれ違うことがあるので、そこで知り合いを見るとゲンナリしてしまう。

いつまで経ってもGARMINは1km毎のラップでバイブレーションを出さない。そりゃそうだ。キロ10なのだから。もはや走っているのか歩いているのかも分からない。ボロボロだ。

ヴィンゲゴーに寄せているらしい。俺を都合3回抜いた。

だが諦める訳にはいかない。さっきも書いたが42万だ。ここで怪我もしてないのに疲れた、という理由でリタイアするなどありえない。しかし意志に反し心拍も120を切り始め、陽は大きく傾く。

きっとメロスならここからキロ3を切る勢いで走るのだろうが残念ながら僕はダメみたいだ。僕のセリヌンティウスは磔待ったナシだ。すまないセリヌンティウス。

LAP:FINAL 友と夕陽と…

そんなこと言ってる間に潤は完走した。塾旗を持っていってよかった。インカレの時よりいい顔してる気がする。

日は完全に沈み、ついに迎えた最終周回。日が沈むと薄情なことに応援が減る。夕焼けの海岸を見ると不思議のダンジョンを思い出す。そんな情緒も何もあったものでは無いが、歩み(走り)を止める訳にはいかない。

菅家さんもゴール。感動のあまり上下逆である。

ここに来て後ろから爆音で洋楽を流しながら応援する輩が現れる。なんだコイツら!?と訝しみながら見ると、朝のトランジで会話した選手だ。お前の友達ファンキーすぎるだろ………と思いつつ仲間が増えたことは嬉しい。最後の気力を振り絞り、どうにかキロ7まで戻す。

ありがとう。君がいなかったら死んでいた。

ここまで来ると残りの選手は完走目標ばかり。明らかに歩く選手の占める割合が高くなる。なんならほとんど歩いている。塩の行進みたいだな。

さすがの海一郎も今回はボロボロ。

残り3km前後。ここに来て田嶋お姉さまが並走してくれた。あら優しい。マネに2kmも並走される自分の脚のNASAにボヤくが、それでも嬉しいものだ。そして最後に小泉も。どうやらインスタライブで流していたらしく、コメントを求められる。こんな状態でも返事ができるのはなんなんだろう。

二上もゴール。この後彼は大変なことになる。
おまえゴールの時いつもきつそうだな。

小泉とも別れ、最後のコーナーへ向かう。ついにずっと行きたかったゴールへの道が開いた。多くのサポーター、観客より祝福をもらい、ビクトリーロードへと向かう。

なぜこの直前だけ妙なパワーが湧くのだろう。多くの選手がそうだと勝手に思っているが、ゴール手前になると何故か力が湧いてスピードが出る。誰かメカニズムを知っていたらおしえてほしい。

いつもだが、今回撮るのはかっこいいゴールだ。お嬢より塾旗を貰い、凱歌をあげる。ついに感動のゴールだ。

…………縦横逆じゃねえか。最後まで締まらない。

戦いの終わり

感動的だ。涙が止まらない。22km。エンデュランスの極限値たるアイアンマンディスタンスをやり切ったのだ。フィニッシャーメダル、フィニッシャータオルがより感動に拍車をかける。

ただこのタオル、めちゃくちゃ毛玉が出る。

ボロボロの体を引きずり、荷物を受け取る場所を過ぎ、フィニッシャーの集まる食堂、マッサージルームへ向かう。岡村がいた。彼はイタリア人選手と仲良くなっていた。会話の間を見つけて彼に声をかける。

やはり同じ釜の飯を食った2人だ。感動も一入だ。レース話に花が咲く。互いの健闘を称え合う。

しかしまだ猪原が戦っている。たった1人で最後まで走り続けている。彼のゴールを待ち、自分も体を少しずつ起こす。もうハナクソをほじる力も残っちゃいない。

引用:ドラゴンボール20巻 集英社

彼はランコース最終周でちらっと見た。ざっと見て20分差。スイムとバイクから逆算すればどうやら自分のランは悲しくなるほど遅かったようだ。

猪原が遂に来た。感動のゴールだ。痛む足を引きずり、意地と気力で成し遂げだゴールだ。すごい。最初間違ってエントリーした70.3のまま出ようとしてたのは内緒だけど。

ストライドのすの字も残っちゃいない。死ぬ気のゴール。
ゴール後、大勢のスタッフに囲まれて祝福を受ける。メダルにタオル。完走の喜びはミドルの2倍をはるかに超える。

時刻はとうに22時30分。どうやら潤、菅家さんなどの最速選手はもうトランジからバイクを回収して宿に戻したそうだ。手際が良い。しかし私にそんな気力も時間もない。手早く写真を全員で撮り、帰路に着く。

やっぱJ.なんすわ。

そして男達はIRONMANになった。

改めて、男達はIRONMANになった。長い長い戦いを終わらせ、ついにゴールに辿り着いた。13時間以上にわたってサポートしてくれたマネージャー二人、ボロボロの体の中運転してくださった菅家さんには頭が上がらない。

内臓が何ともならないが、なにか食わないと眠れない。なんなら体からはドブみたいな匂いがするからとっとと体も洗わないといけない。

全員ズタズタの中、用意していたインスタントラーメンが染みる。なんならラーメンライスにして炭水化物をぶち込む。スマホを開けば色んな選手からの応援、祝福が届いている。めちゃくちゃ嬉しい。

引用:美味しんぼ 小学館

前回世代別チャンピオンの紺野から電話がかかってきた。風呂に入りながら彼と電話する。もはやカレカノだ。他愛のない話をしながら、紺野の凄さを褒める。彼も満更でも無さそうだ。単純なヤツめ。

この時点で時刻は日付を回って1時、YouTubeライブで最後の選手がゴールしたのを見た。なんと75歳オーバーのおじいちゃんだ。すごすぎる。

そんな彼の完走を見届け、全員泥のように眠りにつく。特に二上が大変だ。前ももがやられてよちよち歩きになってしまっている。なんなら帰りの車まで肩をかしている。ありがたく思え。

しかし明日は早い。潤が世代別4位でなるみんは世代別1位で表彰式だ。潤も何かの間違いでロールダウンで呼ばれるかもしれない。なんならトランジの回収もあるので大慌てだ。

長かったIRONMANストーリーももうすぐ終わる。振り返ると少し寂しい気もする。

というわけで後日談も少し上がる。気長に待って欲しい。